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2024年11月01日
第16回「創造する伝統賞」受賞者決定!
公益財団法人日本文化藝術財団は、ガラス工芸作家の佐藤 静恵さん(石川県金沢市)および雅楽演奏団体 Naoyuki MANABE GAGAKU Ensemble(東京都中野区)を、第16回「創造する伝統賞」の受賞者として決定しました。
佐藤 静恵(さとう・しずえ)〔ガラス工芸作家〕
【プロフィール】
1983年 埼玉県生まれ。2006年に多摩美術大学美術学部工芸学科ガラス専攻を卒業後、中学校美術教諭などを経て大学院に進学し、シドニー大学シドニーカレッジオブアート スタジオアートコース(オーストラリア)に留学。滞在中、日本と欧米におけるガラス造形の違いに興味を持ったことをきっかけに、現代工芸の研究を行う。2015年に筑波大学大学院 人間総合科学研究科博士前期課程芸術専攻を修了後、ガラス工房に勤務しながら技法研究を続け、現在の制作スタイルに至る。金沢卯辰山工芸工房における研修を経て、2023年より金沢星稜大学人間科学部の講師を務めながら精力的に制作・発表活動を行う。2024年4月に東京藝術大学大学院に進学し、現在博士号取得を目指している。
【活動実績】
賞歴
2024年 個展「佐藤静恵(Shizue SATO)」展、目黒陶芸館、三重県
2024年 メトロポリタン美術館、NY収蔵(作品「Interface vol.11」)
2023年 SMP Gallery Opening Exhibition, Style Meets People, 東京ミッドタウン
2022年 国際ガラス展・金沢2022 審査員特別賞(志甫雅人賞)
2021年 富山ガラス大賞展2021 銀賞
2021年 ART FAIR TOKYO 2021, 東京国際フォーラム
2020年 第8回現代ガラス展in山陽小野田 大賞
2020年 第76回金沢市工芸展 大賞(金沢市長最優秀賞)
メディア掲載
2023年 婦人画報7月号「KOGEIの未来形」P.96
2021年 ガラス工芸科100人-現代日本の精鋭たち―、阿部出版、P.59
公式ホームページ
silentgrace616.wixsite.com/shizue-sato-glass
Instagram
https://www.instagram.com/seaje616/
如何なる創作活動においても、その最も重要な評価基準は「独自性」であろう。殊に如何にして作られたかわからない作品の独自性はまずもって強力である。佐藤静恵のガラス作品にはその力があり、その一方でガラスでなければ出来ない表現であろう事も垣間見せる巧さがある。また、佐藤の論文や留学の活動等から見られる、地理的、歴史的見地からも自身を分析する客観性は、作品同様に評価されるべきであろう。そうした裏付けから、過去作から現在の作品への変化には正しい進化と反省を感じる事ができる。制作に拘泥するだけではなく、自身の様々な活動の統合は、後進の表現者達の指針となるであろう正確さ、丁寧さを兼ね備えている。それはまさに創造と伝統のあるべき一つの姿なのではなかろうか。(池内務) |
Naoyuki MANABE GAGAKU Ensemble〔雅楽演奏団体〕
【プロフィール】
雅楽演奏家の真鍋尚之の呼びかけにより、東京藝術大学・國學院大学・天理大学で雅楽を学んだ優秀な若手演奏家を集め、千年以上の歴史を持つ日本の伝統音楽である雅楽を世界に伝え、理解を図る事を目的に2020年9月結成。宮内庁式部職楽部・歴代首席楽長から雅楽全般に及ぶ指導を受けながら共演することで伝統の研鑽を重ね、コロナ禍の野外での演奏を通して空間を演出する演奏を展開。「伝統」と「前衛」という全く相対する両者を双方向から深く掘り下げ、別々の流れであった活動を一元化する試みを続けている。
<メンバー>
笙:真鍋尚之、豊剛秋、永井大志、青木総喜、川上彩子、豊英秋(特別講師)
篳篥:本多恵昭、三浦元則、國本淑恵、春日るり子
笛:太田豊、藤脇亮、岩﨑達也、纐纈拓也
<真鍋尚之プロフィール>
1971年 横浜生まれ。1994年 洗足学園大学(専攻/作曲・声楽)を、1998年 東京芸術大学邦楽科雅楽専攻を卒業後、作曲家および雅楽演奏家として活動。2000年より笙の可能性を追求した「真鍋尚之笙リサイタル」シリーズを開始。伝統に根ざしながら独奏楽器としての笙の地位を確立させ、さらに超絶技巧を用いた作品の演奏で笙の魅力を飛躍的に発展させた。豊かな表現力で笙を自在に操る姿は「笙のパガニーニ」とも呼ばれ賞賛されている。文化庁文化交流使としてドイツを中心に笙の新しい可能性を追求した作品を作るための共同作業をおこなった。1998年第1回国立劇場作曲コンクールにて自作 笙独奏曲『呼吸II』の演奏で優秀賞を受賞したほか、作曲および演奏での受賞多数。
【活動実績】
2023年12月 豊洲文化センター「伝統と革新」
2023年10月 宮崎県美郷町「西の正倉院で聴く雅楽」
2022年10月-12月 ARTS for the future! 2(文化庁)豊橋公演・横浜公演・東京公演
2021年11月-12月 ARTS for the future!(文化庁)横浜公演、山口公演、広島公演・杉田劇場公演
2021年1月 横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテ「雅楽~新春の調べ~」
2020年10月 大塚遺跡公園「古の丘 古の音 二千年前の営み 千年の響き」
2020年10月 久良岐能舞台「久良岐の森で音探し」
2020年 映像制作『越殿楽の理解のために ~雅楽演奏法(鑑賞)入門』
公式ホームページ
https://sho-manabe.net/detail/nmge/
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https://x.com/ManabeGagaku
選 評 雅楽演奏家の真鍋尚之主宰の雅楽アンサンブルで、世界に雅楽の伝統を発信すべく2020年設立された。宮内庁式部職楽部(しきぶしょくがくぶ)元首席楽長、豊英秋(ぶんのひであき)の弟子として長年古典を学び研鑽を積んだ真鍋は、雅楽の伝統的な奏法「退吹(おめりぶき)」に着目し、その考えを応用した「退舞(おめりまい)」、笛や篳篥の「木霊吹(こだまぶき)」など新たな様式を作り出し、伝統に基づいた新しい雅楽の可能性を鮮烈に提示した。真鍋はこの活動を、従来のように外部作曲家に委嘱した作品を演奏するのではなく、雅楽の内側から「伝統」と「前衛」という別々の活動を一元化する試みだと述べる。「西洋的視点の前衛作品ではなく、雅楽の伝統の延長線上に位置づける」作品の創造活動を行う当アンサンブルが、「創造する伝統」の活動であることは間違いないであろう。(茂手木潔子) |
【第16回「創造する伝統賞」受賞者紹介】
https://jp-artsfdn.org/upload/pdf/list_award.pdf
【過去の受賞者】
http://jp-artsfdn.org/award/list/
【創造する伝統賞】
http://jp-artsfdn.org/award/