黒田 大祐(クロダ ダイスケ)
1982年01月01日京都府生まれ美術家
2013年広島市立大学大学院博士後期課程総合造形芸術専攻(彫刻領域)修了。橋本平八の「石に就て」の研究で博士号取得。大学進学を機に広島に拠点を移し、広島や瀬戸内海の歴史、出来事をテーマに作品を制作していた。東日本大震災以後、気象や地形などの物理的な「環境」と「歴史」などの人間の物語の関係性にテーマを移行し、家電などを用いてキネティックな彫刻作品や映像を用いたインスタレーション作品を展開している。2011年より対馬で開催している「対馬アートファンタジア」に携わったことを契機に、東アジアに着目するようになり、瀬戸内から対馬、韓国と点在する植物についての作品「チョウジガマズミについて」(瀬戸内国際芸術祭2016)などを制作。近年は、自身のルーツとも言える「彫刻」について着目し、「不在の彫刻史」シリーズを展開。「不在の彫刻史」(TOKAS本郷)を開催した。個人の活動の他に「チームやめよう」を主宰。
【第16回日本文化藝術奨学金受給 (2011年度)】
25周年記念助成対象企画概要
- ◆「不在の彫刻史2」<2019/1/24-2/2/3331 Arts chiyoda(スタジオ)>
- ◆「ハイパーゴースト・スカルプチャー」<2019/1/18-2/17/Kanzan Gallery>
日本が帝国主義的な支配を拡大していた1930年代頃、東京美術学校彫刻科の建畠大夢教室に様々な国から彫刻家を志す若者が集い、後にそれぞれの国に戻って作家や教師として活躍、その国の後進の彫刻家たちに影響を与えた。建畠大夢自身も伊藤博文像を制作しているが、韓国・仁川のマッカーサー像や北朝鮮の金日成像なども、その教え子が制作したものであり、それらの作品からは造形的な類似点を見出せる。本展覧会では、建畠の教え子の教え子、さらにその教え子までを探し出し、聞き取りを中心としたリサーチを行い、東アジアに横たわる彫刻概念について制作した作品を展示する。
選評
非常に興味深い仕事を続けている作家である。今回企画している展覧会「不在の彫刻史―建畠大夢と留学生―」では建畠大夢という研究対象の彫刻家の発見、彼が教えた留学生による東アジア地域への影響力、そこに横たわる近代彫刻史の探求。ひいては歴史問題、日本人独特の造形美意識の発見までと貪欲にすそ野を広げながら、かつ統一感を失わない良質なコンテンツがそこにある。入念にリサーチを進める真摯な姿勢も好感が持てる。最終的な展示成果物が具体的にはまだ想像できないが強く期待したい。今回の助成で彼の大きなステップとなる展覧会を作り上げて欲しい。東アジアをテーマにしているところも財団創設者の理念に沿っている。(ヤノベ ケンジ)
活動ブログ
活動結果報告
■助成対象プロジェクト
[プロジェクトタイトル]不在の彫刻史2
<メイン会場>
[イベントタイトル]ハイパーゴースト・スカルプチャー
[発表の形態]展覧会・トークイベント
[日程]2019年1月18日~2019年2月17日
[時間]メイン会場:12:00~19:30
[会場]Kanzan Gallery
〒101-0031 東京都千代田区東神田1-3-4 KTビル2F
[主催]Kanzan Gallery
[来場者数] 450人
<サテライト会場>
[イベントタイトル]不在の彫刻史2
[発表の形態]展覧会
[日程]2019年1月24日~2019年2月2日
[時間]12:00~19:00
[会場]3331 Arts Chiyoda, B104スタジオ
〒101-0021 東京都千代田区外神田6-11-14
[主催]黒田大祐
[来場者数] 350人
[広報活動]
①チラシの配布(1500)
②Webサイト(カンザンギャラリー、自身のウェブサイト)
③TwitterなどのSNS(Twitter、フェイスブックほか)
④プレスリリース(出版、報道関係) を行なった。
掲載:美術手帖web版、トーキョアートビート他。
ギャラリーの方針で、ウェブやSNSを中心に広報活動を展開していくということで、チラシに重点が置かれなかった。今までにない客層にアピールでき、同時にチラシの効果や意味も考える良い機会になった。また、広報的な意味合いだけではないがトークイベントを多数開催した。
詳細は次の通り。
[トーク セッション]
①「情報化する彫刻」1月19日(土)17:30- 19:00(予約不要, 入場無料)◆谷口暁彦(アーティスト)× 黒田大祐 *進行:和田信太郎
②「彫刻の正体」1月27日(日)17:00- 18:30(予約不要, 入場無料)◆小田原のどか(彫刻家)× 黒田大祐 *進行:和田信太郎
③「東アジアと美術」2月3日(日)17:00- 18:30 (予約不要, 入場無料)◆Jang-Chi(オル太)× 黒k田大祐 *進行:和田信太郎
いずれのトークも充実したもので、多くの来場者があった。